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今回は、金融資産運用の分野から、「債券の利回りの計算」について説明します。
計算式で書くと、分数の中に分数が入っている、あの、めんどくさそうなヤツ(↓)です。
この債券の利回りって、カンタンにいうと、投資に対する年間収益の割合なんです。
計算式でいうと「年間収益÷投資額」です。
年間収益は、1年間で受け取る利息とか、譲渡益(1年分)とかですね。
投資額は、買ったときの価格です。
100円で買った債券の1年間の利息が2円だったら、利回りは
2円÷100円=0.02→2%
と計算します。これがベースの考え方。
そして、債券の利回りには、
・直接利回り
・応募者利回り
・最終利回り
・所有期間利回り
の4つがあります。
直接利回りは試験ではあんまり出ないのですが、これがベースになるので、これから見ていきましょう。
<直接利回り>
直接利回りは、「表面利率÷購入価格」で求めます。
債券の場合、額面100円あたりの金額で計算していくので、たとえば額面100円につき90円で購入したとすると、購入価格は90円となります。そして、表面利率が2%だとすると、1年間の利息は2円(100円×2%)となります。
ちなみに債券の利息は、額面に表面利率を掛けて計算しますよ。購入価格の表面利率を掛けるのではありません。
最初に説明したように、利回りは「年間収益÷投資額」で計算するので、
2円÷90円=0.022…
この0.022…は小数です。小数を%になおすときは100倍する(教科書の公式に「×100」と書いてるのは、小数から%になおすためです)ので、
0.022…×100≒2.2%
が直接利回りとなります。
この「2円÷90円」が「表面利率÷購入価格」に該当します。
購入価格は「額面100円あたり」で考えますし、利息は額面を基準に計算するので、「表面利率÷購入価格」になるんですね。
さて、この考え方をベースにして、次を見てみましょう。
<応募者利回り>
応募者利回りは、債券の発行時に買って、最後(償還)まで持っていたときの利回りです。
たとえば、額面100円につき95円で購入した、表面利率2%の債券があったとしましょう。これ、1年間持っていると2%の利息が付きますよね?
そして、償還時には額面で償還…払い戻してもらえるので、95円で購入した債券が100円で払い戻してもらえるのです。
…ということは、5円得することになりますよね。
この得した分(償還益)も収益の計算に入れます。
ただし、この「5円」は債券の発行時から償還時までの期間の収益なので、1年分の収益を計算するさいには、発行時から償還時までの期間…償還期間で割ります。
仮に償還期間が5年だったら、5年間で5円の収益なので、1年分は1円ですよね。
これがテキストに記載されている「(額面-発行価格)÷償還期限」なのです。
そして、表面利率は年2%ですから、年間収益の合計は
表面利率+1年分の償還益
→2+1円=3円
と計算することができます。
投資額は買ったときの金額なので、発行価格95円です。
年間収益が7円、投資額が95円なので、応募者利回りは
3円÷95円≒0.0316→3.16%
という計算になります。
<最終利回り>
最終利回りは、すでに発行されている債券を買って、償還まで持っていたときの利回りです。
たとえば、償還期限が5年、表面利率2%の債券を、発行されてから1年後に、額面100円につき96円で購入したとしましょう。
償還期限は5年ですが、発行から1年後に償還されるので、購入時から償還時まで…つまり購入者が持っている期間ですね…は4年ですね。
そして、償還益は4円(100円-96円)なので、1年分の償還益は1円(4円÷4年)。
表面利率が2%ということは、年間収益は3円(2円+1円)です。
これを投資額(購入価格96円)で割るので、最終利回りは
3円÷96円=0.03125→3.125%
と計算できます。
<所有期間利回り>
所有期間利回りは、新たに発行される債券やすでに発行されている債券を買って、償還前までに売ったときの利回りです。
たとえば、表面利率2%の債券を額面100円につき96円で購入して、購入時から3年後に額面100円につき97.5円で売却したとしましょう。
96円で買って97.5円で売るので、売却益は1.5円(97.5円-96円)ですね。
購入時から3年後に売却しているので、1年分の売却益は0.5円(1.5÷3年)。
そして表面利率が2%だから、年間収益は2.5円(2円+0.5円)。
これを投資額(購入価格96円)で割るので、所有期間利回りは
2.5円÷96円≒0.026→2.6%
となります。
このように、債券の利回りは「年間収益÷投資額」で計算する、というのをおさえておけば、あの、分数の中に分数が入っている公式を忘れてしまっても、計算することができます。
上記の内容を、お持ちのテキストを見ながら確認して、問題を解いてみてくださいね。