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遺族基礎年金、遺族厚生年金の概要

FP

公的年金制度は、もしものときの生活保障という役割があります。

今回は、突然家族がなくなってしまった場合にもらうことができる遺族年金について見ていきます。

遺族年金は、国民年金では「遺族基礎年金」、厚生年金では「遺族厚生年金」といいます。

FPの試験では、遺族基礎年金の子の加算額や、遺族基礎年金や遺族厚生年金の基本的な年金額を問う問題がよく出ています。

<遺族基礎年金をもらうための要件>
遺族基礎年金をもらうための要件は、

・亡くなった方の要件
・残された遺族の要件

を満たす必要があります。順番に見ていきましょう。

●亡くなった方の要件●
①国民年金の被保険者であること

②国民年金の被保険者であった人で、国内に住所がある60歳以上65歳未満であること

③老齢基礎年金の受給権者(25年以上加入している人限定)であること

④老齢基礎年金の受給資格期間(25年以上加入している人限定)を満たした人であること

①、②の場合は、保険料納付要件をクリアしていなければなりません。
全被保険者期間のうち、3分の2以上が「保険料納付済期間+保険料免除期間」でなければならない、というものです。

●遺族の要件●
①死亡した人の配偶者で、と生計を同じくしているものであること

②死亡した人のであること

配偶者には年齢要件がありませんが、子には「18歳到達年度末日までにある子、または、20歳未満で一定の障害状態にある子」という年齢要件があります。

遺族基礎年金の年金額は、
780,900円(2021年度価格)+子の加算額
となります。

子の加算額は、第1子、第2子は各224,700円、第3子以降は74,900円です。

<遺族厚生年金をもらうための要件>
続いて遺族厚生年金です。こちらも遺族基礎年金と同様、亡くなった方の要件と残された遺族の要件両方を満たすことになります。

●亡くなった方の要件●
①厚生年金保険の被保険者であること

②厚生年金保険の被保険者だった間に初診日がある傷病がもとで、その傷病の初診日から5年以内に死亡した人であること

③1級・2級の障害厚生年金を受けられる人であること

④老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人(いずれも加入期間25年以上)であること

①、②は、遺族基礎年金のときと同様、保険料納付要件のクリアが必要です。

●遺族の要件●
亡くなった方の「配偶者、子、父母、孫、祖父母」がもらえるものです。
→ハイ、シ、フ、ソン、ソと覚えましょう!

もらえる順位は

①配偶者、子
②父母(配偶者も子もいない場合)
③孫(配偶者も子も父母もいない場合)
④祖父母(配偶者も子も父母も孫もいない場合)

となっています。

また、妻以外の遺族には、

・夫、父母、祖父母は死亡時に55歳以上(受給開始は60歳から)
・子、孫は18歳到達年度末日まで、または20歳未満で一定の障害状態にあるとき

という年齢要件があります。

ちょっと具体例でみてみましょうか。
夫婦2人暮らし(夫40歳、妻40歳)で、夫婦ともに厚生年金に加入中の場合、夫が亡くなった場合、妻には遺族厚生年金が支給されます。

妻が亡くなった場合、夫には遺族厚生年金が支給されません(死亡時に55歳以上ではないため)。

遺族厚生年金の年金額は、
報酬比例部分の年金額×4分の3
です。

亡くなった人がもらうはずだった老齢厚生年金の額の4分の3ということになります。

また、妻の遺族厚生年金には中高齢寡婦加算がつく場合があります。

加算がつく妻の要件は

・夫が亡くなった時40歳以上65歳未満で生計を同じくしている子がいない妻

・遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度末日に達したことなどにより遺族基礎年金を受給できなくなったとき

となります。

少し整理すると

遺族基礎年金には子の加算がつき、遺族厚生年金をもらう妻には中高齢寡婦加算がつく場合がある

ということになります。

ここまでたくさんの要件を紹介してきましたが、一度にすべての要件を覚えるのは難しいと思うので、試験攻略のためには、まず概要を押さえ、問題を解きながら細かい数字や年齢要件などを覚えていくようにしましょう!