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65歳になると、国民年金から老齢基礎年金がもらえるようになりますが、厚生年金にも加入していたことがある方は、老齢厚生年金も同時にもらえるようになります。
今回は、老齢厚生年金についてお話していきます。老齢厚生年金の年金額は、老齢基礎年金よりも計算が複雑になりますので、ざっくりと概要のみ説明していきたいと思います。
まずは、老齢厚生年金をもらうための要件(受給資格期間があるかどうか)を確認していきましょう。
<老齢厚生年金をもらうための要件>
老齢厚生年金は、
①老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上あり
②厚生年金保険の加入期間が1月以上ある方が
③原則として、65歳になると
もらうことができるものです。
①と③は、国民年金の老齢基礎年金と同じ要件ですね。
②は、厚生年金保険に最低でも1月以上加入が必要ということです。
1カ月だけ会社員で厚生年金に入っていて、そのほかの期間はずっと国民年金の第1号被保険者でした…という方も、老齢厚生年金がもらえますよ。
<老齢厚生年金の年金額>
老齢厚生年金の年金額は、次のように報酬比例部分と経過的加算額、さらに対象者がいる場合に加給年金額が加算される仕組みになっています。
65歳以降の老齢厚生年金の年金額
=報酬比例部分+経過的加算額(+加給年金額)
報酬比例部分は、下記の①+②で計算します。
①平均標準報酬月額×7.125/1,000×2003年3月以前の被保険者期間の月数
②平均標準報酬額5.481/1,000×2003年4月以降の被保険者期間の月数
2003年3月以前と2003年4月以降の月数で、計算が異なります。
2003年3月以前は、賞与を入れないで給与の月額だけで計算していたのですが、2003年4月以降は総報酬制がとられるようになり、賞与も入れて計算するようになりましたので、掛ける乗率が変わっています。
また、65歳以降の老齢厚生年金には、経過的加算額という加算もつきます。経過的加算額とは、ざっくりと説明すると、現在の老齢基礎年金制度になる前の年金制度との差額を埋めるためにつく加算です。経過的加算額の計算式の説明は、ここでは省略しますね。
そして、加給年金額という加算について説明していきましょう。
加給年金額は、
①厚生年金の被保険者期間が20年以上ある場合
②その人によって生計を維持されている65歳未満の配偶者または18歳到達年度の末日までにある子
について加算がされるものです。
さらに、配偶者につく加給年金額には、特別加算額もつきます。
ちょっと具体例でみてみましょうか。
65歳の夫(60歳まで会社員で厚生年金に加入)、63歳の妻(専業主婦)の場合、65歳からもらえる夫の老齢年金は
<特別支給の老齢厚生年金とは>
このほか、1960年度以前生まれの方(厚生年金加入の女性は1965年度以前生まれの方)は、65歳からの老齢厚生年金をもらう前に、特別支給の老齢厚生年金をもらうことができます。
特別支給の老齢厚生年金は、定額部分と報酬比例部分で構成されていて、60歳~65歳になるまでの間にもらえるものです。生年月日によって支給開始年齢が定められています。
まずは受給要件からみていきます。
特別支給の老齢厚生年金は、
①厚生年金の被保険者期間が1年以上ある方が
②老齢厚生年金の受給資格期間を満たしているときに
もらえるものです。
65歳からの老齢厚生年金は、厚生年金の被保険者期間は1月以上でしたね。
この違いはよくよく覚えておきましょう。
そして、支給開始年齢ですが、生年月日ごとに、男性、女性で異なっています。
現在、定額部分の支給開始年齢の引上げはすべて完了していますので、ここでは、報酬比例部分の支給開始年齢を紹介していきますね。
【男性の場合の報酬比例部分の支給開始年齢】
1953年4月2日~1955年4月1日生まれ
→61歳から報酬比例部分
1955年4月2日~1957年4月1日生まれ
→62歳から報酬比例部分
1957年4月2日~1959年4月1日生まれ
→63歳から報酬比例部分
1959年4月2日~1961年4月1日生まれ
→64歳から報酬比例部分
1961年4月2日以降生まれ
→報酬比例部分の支給ナシ(65歳から老齢厚生年金を受給)
女性の場合は、5年足した生年月日が支給開始年齢になります。
例えば、61歳から報酬比例部分が受給できる生年月日は、女性の場合、1958年4月2日~1960年4月1日生まれとなります。
以上、老齢厚生年金についてざっと見てきました。
年金の勉強は、自分だったら何がもらえるかな…?と考えながらみていくといいと思います。ぜひ、自分や自分の身の回りの人にはどんな年金が出るのか、考えながら勉強をしてみてくださいね。